第2章 ダンデ編
そして、彼とは気まずいままトーナメントの日を迎えてしまった。会場は熱気に包まれ、テレビ放送の手配もしたため、ガラルの人々の注目を集めるバトルになることは間違いなかった。
「ダンデ。お前の不敗記録、俺が破るぜ」
爛々と光る目で俺を挑発するキバナに、俺も笑いかける。
「すまんな。勝つのは俺だ」
そして、互いに背を向ける。俺たちはライバル同士…これ以上の会話は不要だった。それよりも……
「アニキ!!」
「ホップ!! 来たか!!!!」
ここまで上り詰めたチャレンジャーたちに声をかける方が大切だ。彼らには最高のコンディションで挑んで貰わないといけない。ホップの後ろからは、少女がネズの妹と一緒に歩いて来ており、そこから遅れるように来たのは……
「アニキ?」
ホップの声にハッとして、慌てて笑みを浮かべ、
「よく達成したな!! 凄いぞ!!」
と、ホップの頭を撫でた。嬉しそうに頬を緩ませるホップ。俺はその後ろにいる2人にも声をかけた。
「君たちもだ!! よくジムの関門を突破した!!」
2人は誇らしそうに顔を見合わせ、微笑み合った。そして、俺は最後に視線を先へとやる。
「君もだ。よく頑張ったな」
「………ありがとうございます…」
茶色の瞳と目が合ったのは一瞬だけで、すぐに逸らされてしまう。会場から歓声があがり、俺は子供たちに声をかける。
「さぁ! トーナメントの始まりだ!!」