第2章 ダンデ編
「あっ!! もしかしてお前、俺様の投稿見て来たのか?」
ケラケラと笑いながら、ユイの肩を叩くキバナ。そう言えば、キバナは何度もロトムに写真を撮るよう頼んでいたな。
「仕方ねぇな!! サインしてやるよ!!!!」
サラサラと慣れた手つきでユイの服にキバナがサインをする。その間、ユイはじっと俺を見ていた。余程走ったのだろう…彼の額には汗が滲んでいた。
「気持ちいいですか? チャンピオン」
「っ…」
その姿が夜の情事と重なり、俺は勢いよく目を逸らした。そんな俺を見てリザードンが首を傾げる。
「おいダンデ!! お前も俺様の隣にでも書いてやれよ!!」
自分のサインを書き終えたキバナが俺に声をかけた。認めたチャレンジャーが自分の投稿をチェックしていたと知り、随分ご機嫌のようだ。……そうだ。俺はチャンピオン、彼はチャレンジャー…彼とはそれだけの関係だ。俺は落ち着け…と自分に言い聞かせた。
「…あぁ、そうだな。それに、夜も遅い。ユイくんを早くホテルに届けないとな」
俺はリザードンから降り、ペンを受け取ろうとキバナに手を伸ばした。すると、その腕をユイが掴んだ。
「大丈夫です。もう持っているので」
そして、キバナにお辞儀をすると、俺の腕を掴んだままスタスタと歩き始めた。俺は慌ててリザードンをボールに戻す。
「あ、ダンデ!! 今度はバトルな」
「あぁ、今度はこちらから連絡する!!」
ブンブンと手を振るキバナに声をかけると、ぐっと腕を握る力が強くなった気がした。