第2章 平子夢
「私も平子隊長が好きです…!大好きです…!」
「ふは、知っとるわ。」
必死に告白して来るに今まで持たなかった感情が生まれこそばゆい。羽織の裾で涙を拭い、徐に無防備な唇を重ねた。触れるだけの短い口付けにも関わらずは一度硬直するなり再び言葉も紡がないまま口を開閉させ後ずさる。
「き…きっ………キス…!」
「どんだけ初心な反応やねん。」
「だって、ずっと平子隊長の事考えてたから…彼氏…居た事無いし…初めてだったから…!」
「初!?現世で彼氏くらいおったやろ!?」
「一途だって言ってるじゃないですか!!作らないまま死にました!」
…いっそ執念すら感じるわ。まァ、オレもそんなアホに惚れた訳やけど。コレはアレやな。ナニするにも時間掛かりそやなァ。何をするにも一々こない初々しい反応見れると思うと楽しみやわ。
口元が緩みそうになり掌で隠すと、は何かを思い出した様に両手をパンと打ち懐を漁る。差し出されたのは綺麗にラッピングされた小さな袋やった。
「なんやコレ?」
「…この前、甘味処でお金出してもらったのでお礼にと思って買いに行ったんです。でも男にプレゼントなんてした事ないですし、海燕さんにアドバイス貰おうと思って着いてきて貰ったんですよ。」
「……オレむっちゃ恥ずいやんけ。」
「嫉妬してる平子隊長の写真も撮りたかったです…。」
「オマエなァ…開けてええの?」
「は、はい…!!」
リボンを解き、中身を取り出すとそれはバングルやった。クロスタイプの2連バングルで、交差している中央には淡い青色の石が小さく埋められた至ってシンプルなやつ。
「平子隊長は手首細くて綺麗だし似合うかと思って…。」
「えぇやん。ありがとな。」
「…!!へへ…。」
は店前で海燕に見せた時と同じ様に幸せそうに笑った。もしかして、あん時オレに渡す時の事想像してヘラヘラしとったんか。
「あー…コレはあかんわ。」
「平子隊長?」
「がむっちゃ可愛く見えて調子狂うんやけど。どうしてくれるん?」