第3章 市丸裏夢
お互いの頭にはてなマークが浮かび続けた。何だこの噛み合わない感じ。するとそんな空気に耐えられなくなったのか市丸隊長は小さく吹き出した。何笑ってんだ。
「あれ?ボクに好きやて言わんかった?」
「いや、今初めて聞きましたけど。」
「ほんなら今言うわ。ボクと付き合お。」
「はぁ…え…こんな緩い付き合い方有ります…?」
頭が追い付いてこなくて空返事になってしまった。いやだって、私この人は松本副隊長が好きなのだと思っていたから今自分が何を言われているのか良く分からなくて。付き合う?恋人…?
「えぇ…だってキミ、抱かれる時えらいボクの事慕ってますって顔しはるやん。がボクの事好いとるのは知ってたし、寧ろ今更やわ。」
「なッ……!!」
市丸隊長の言葉に驚きと羞恥で顔が熱くなる。私、そんな顔してたの?知らなかった、恥ずかしい…!隠し切れてないなんて!
「そうそう、丁度そんな顔や。ボクの好きな顔。」
「少し黙って下さい…!」
「何でギンって呼んでくれへんの?照れとるん?なぁなぁ。」
「うるさいな、こっち見ないでくだ……ちょっと、何で股間固くなってんの。」
グリ、と太腿に押し付けられた明らかに固い異物に眉間に皺が寄る。この人正気か。
「なんでやろなぁ。」
「何で上乗ってるの!どいて下さい!」
「恋人になってからの初セックス、始めよか。」
「無理、もう腰痛…、ぁっ!話聞け!」
「ほら、は何回もイッたかもしらんけど、ボク1回しかイッてへんし。まだまだイけるやろ、三席やもん。」
「関係ない!口で、口で、するから!触らな………っ、あ…もう!」
「聞こえへんなぁ。」
着物の隙間からスルリと手が忍び込み内腿を摩る。何で私はこんな男が好きなんだろう。けれど、市丸隊長…ギンの気持ちを知る前と後では気持ちの持ち方が違うというか……悪い気分じゃない。
そんな事を考える余裕すら、なくなる程抱かれ続け結局朝まで付き合わされたのはまた別の話。
fin