第2章 平子夢
「大事な事です!…でも、一目惚れしたのは、死神になってからじゃなくて…もっともっと前……まだ5歳の頃、現世で虚に襲われてた所を助けてくれたのが…平子隊長でした。」
「は?現世?」
「私元々霊感強かったんですよ…。だから虚にも襲われやすかったんです。たまたま平子隊長が現世に任務で来てたんでしょうね。虚に追われて怖くて怖くて、殺されるかと思った時、凄く綺麗な長い髪をした…五番隊の羽織を着た貴方の横顔を見ました。その時から私はずっと平子隊長に会いたくて…お礼も言いたくて………強くてかっこいい平子隊長が大好きで…だから…嫌われたくないんです…。」
ちょこんと正座をして再び大粒の涙を流しながら語るに開いた口が塞がらん。5歳て。アホ程長い時間オレを慕ってたって…。一途なんて言葉じゃ寧ろ足らん位やろ。
「アホやわ。」
「こんな長い期間、貴方に焦がれてたなんてバカだって思うでしょう!だから言いたくなかったんです!でも、好きになっちゃったんだからしょうがないじゃないですか!」
「アホすぎて泣けてくるわ、ほんまに。」
「アホアホ言い過ぎで……す…。」
泣きながらほぼ半ギレで声を上げるを抱き締める。途端に言葉は縮こまっていき、最後には黙って唇を小さく開閉させながら顔を真っ赤にするの頭を優しく撫でた。
アホなのはオレの方やんけ。こんな一途で真っ直ぐな女他に居らん。
「スマン、八つ当たりしたわ。」
「や、八つ当たり…?」
「海燕と楽しそーにしとるところにも、デートか聞いて顔赤ァなっとる所も、むっちゃ腹立ってん。嫉妬したわ。」
「し、ししししし嫉妬。…………嫉妬!?嫉妬の意味知ってますか!?」
「知ってんで。好きな女が他の男とイチャイチャしとると腹ん中ムカムカするやつやろ。」
「あ………う……!」
茶かそうとしたのか知らんけど、真っ当に答えるオレに言葉を失ったのか、好きな女に反応したのかはワナワナと唇を震わせる。
「オレもの事が好きや。オレと付き合うて欲しい。」
「……ッ!!」
は首取れるんとちゃう?ってくらい勢い良く縦に振る。何やろなコレ、好きだって自覚した途端とんでもなく可愛く見えるんやけど。