第2章 平子夢
「平子隊長の貴重なポニーテールですよ!?大丈夫です、誰にもあげません!自分用です!!」
「お前なァ……。」
何でこないにオレに執着しとるんや…。その癖やる事なす事ほぼストーカーやんけ。自覚あるんか。
深々と溜息を零しを連れて隊舎を出る。すると急に謎の距離が出来た。何故かオレの数歩後ろを着いてくる。
「何で隣来んねん、こっち来や。」
「い、いや……なんか畏れ多いというか……はず、かしい…というか…。」
「聞こえんわ。」
「わっ!」
外出た途端しおらしくなったの手を掴み強引に隣に並ばせ見下ろすと、顔を耳まで赤くして俯いとる。え、何?何やこの反応。コイツこんな反応出来るんかい。
女らしい表情を浮かべるが新鮮でつい面白くなり、引っ張った手をしっかり繋ぎニヤニヤしながら顔を覗き込む。
「なァに顔真っ赤にしとんねん。普段自分からベタベタしくさる癖に。」
「い、いつもは全然相手にされないしそもそも髪位ですよ、触ってるの!そんな痴女みたいな言い方しないで下さい!」
「いやそこまで言うとらんわ。」
…可愛ええ所あるやんけ。ちゅーかそもそもはどちらかといえば、顔は可愛い。そこそこモテるタイプや思う。すぐ仕事サボるしオレの前では変態のオッサンみたァな事が多いけど、これでも五席やし本来真面目やろし…コイツほんまに何でオレに拘るんや…。
「考え事してる平子隊長も素敵ですね!」
「撮るな撮るな。」
「そんな無慈悲な!どんな姿の平子隊長もカメラに納めたいんです!!」
「ほんまもんのストーカーかオマエは!!」
「痛っ。」
余った手で頭を叩く。ったく、油断も隙もあったもんやない。
そうこうしている内に甘味処に着いた。中は程々に人が居るが特に待つこと無く通される。指定された席に向かい合う形で座り、手書きで書かれたメニューに目を通す。
「好きなん頼みや。ヤサシー隊長が奢ったるわ。」
「そんな…平子隊長が食べてる姿が見られるだけで充分お腹いっぱいです…!」
「なんの為にここまで連れてきた思うとんねん!!ったく…オバチャーン、クリーム餡蜜2つ!」
「はいよ〜!」
「や、優しい……好き…。」
「……なァ、何でそないにオレの事好きなん?」
「え、それ本人に聞いちゃいます?」
「他の誰に聞けっちゅーねん。」