第1章 ◆若返り(三日月宗近)
「そうか、俺の振る舞いも誤解を与えるものであったか…。そうだな、俺の好きというのは、主に口づけたいという“好き”だ」
「えっ…」
「欲を言えば、それだけでは少々足りんな。先程は胸を揉みたいと思っていた」
「み、三日月さん…」
どんどん赤くなってしぼんでいく主に、三日月は「なんだ?」と悪びれる様子もなく応える。
もちろん、主も三日月のことが好きだった。
しかしそれは彼女の証言のとおり子供扱いばかりする三日月には届かないと思っていたし、結ばれることなどつゆほども期待していなかったのだ。
「……私も好きですよ。三日月さんのこと」
「そうだろう? なら他の男を漁ろうとはどういう了見だ? 若い男に興味が出たか?」
「そうじゃないですけどっ」
「俺はまだまだ若いぞ。試してみるか?」
これは調子に乗った三日月による夜伽の誘いだったのだが、彼女はそれには気づかず「お若いのは知ってます」という的はずれな回答をした。
それに笑みを落とし、彼はめげずに次の手に出る。
「なら今夜は俺の部屋で共に寝るとしよう。分かったな? 主が子供ではないというところを俺に見せておくれ」
そこまで言われると、さすがの彼女も彼が今夜何をしたいのか察しがついた。
そして顔を熱くしながら、コクンと頷いた。