第4章 ◆例の部屋(鶴丸国永)
───ガチャ…
やがて扉が開いた。
背後でそれを確認した鶴丸は、主の着物を整えて、まだしばらく添い寝をしながら彼女の頭を撫でていた。
うっとりして睫毛を伏せている彼女は、すぐ隣に横たわっている鶴丸をじっと見つめた。
「……開きましたね…」
「……そうだな…」
“夢だったんだろうか”
お互いがそう思い、不安の残る表情で見つめ合った。
この部屋から出ても、元に戻らないように。
彼らはそう誓い、恋人として手を繋ぎ、気持ちを確認するために口づけをする。
─ちゅ…─
「…んっ…」
舌が入る口づけはしばらく続いたが、名残惜しく糸を引きながら終わった。
熱い口づけを交わしたからだろうか。
やがて主の目元はトロンと下がり、鶴丸の腕のなかで眠りに落ちていく。
「………主」
鶴丸が優しく声をかけても起きない。
本格的に眠った彼女を抱き抱え、この部屋から出ていく鶴丸は、最後に彼女の耳元で囁いた。
「…次は、激しくするからな」
◆「例の部屋」完 ◆