第4章 ◆例の部屋(鶴丸国永)
「……なあ、主」
明らかに声色が変わった鶴丸に、主は肩を揺らした。
鶴丸はおそるおそる彼女の肩に手を近づけていき、覚悟を決めて抱き寄せる。
「きゃっ…!」
驚いて縦に揺れた彼女だか、意外と強い力で肩を抱いてくる鶴丸に抗えず、心臓が鳴り響くままに硬直していた。
「…俺とじゃそんなに嫌か? 」
「………そ、その…嫌ってわけじゃなくて…」
「なら、してもいいだろ?」
「ちょ、ちょ、待っ…」
「すればここから出られる」
「…う…うぅぅー…」
声を徐々に甘くして説得してくる鶴丸に、固く目を閉じ、亀のように首をすぼめる主。
鶴丸はこの腹の探り合いのような空気に興奮が止まらず、彼女のことは完全に性的な目で見始めていた。
彼女の髪の香りも、柔らかい肩も、目線の下にすぐ見える胸の膨らみも、今まで意識せずにいたのに全てが感性に触れる。
「な? 主。どうする」
追い込むように耳元で囁き、彼はなんとか許可をとろうと必死になった。
彼女は、ついに鶴丸の押しに負け、鼻をすすりながら彼の胸の中に顔を押し付け、
「……分かりましたよぉ…もうヤだぁ…ほんとに優しくしてくださいねぇ…」
と涙声で折れた。
鶴丸はキュンとしながら、“よし!”と心の中でガッツポーズをした。