第4章 ◆例の部屋(鶴丸国永)
ケロッと即答した鶴丸に、主は目を丸くする。
「え…」
「逆にできない理由ってなんだ?」
「だって…ずっと一緒にいても今までそういう雰囲気になったことないし…」
「でもなっちまったらできるさ。俺は男だし、主は可愛いしな。手を出していいなら、今までだって出せたんだぜ?」
「かっ……!?」
すんなりと“可愛い”と言われ、口をパクパクさせる主。
鶴丸は初心な反応をする彼女についに本気になってきて、これは攻めてみようかとじりじり距離を詰めていく。
「どうした、真っ赤だぞ主」
「うぅー……鶴丸さん、からかってるでしょ…」
彼女は腕を交差させ、そこに顔を隠す。
鶴丸はそれをどけて彼女の顔を見ようと格闘を始めた。
「ほら、顔を見せろって。意外と押しに弱いんだな」
「やだやだっ…」
無理矢理腕を掴んで顔を暴くと、やかんのように沸騰した彼女の真っ赤な顔が現れた。
彼女は目に涙を溜め、まつ毛はしおらしく伏せ、何とも言えない苛めたくなる表情をしている。
「っ…」
不意打ちだった鶴丸は思わず、喉をゴクリと鳴らしていた。