第4章 ◆例の部屋(鶴丸国永)
「…な、なんで急に」
「急にじゃないだろ。もう二時間も様子を見たのに、何も起こらない。行動を起こしたほうがいい」
「…そんなこと言われても…」
主はコタツを肩までかぶり、顔を隠した。
鶴丸は言い出したものの、部屋が快適であり困ることもないためまだ夜伽を急いてはいない。
しかし恥ずかしそうな仕草をする彼女に少しキュンときたため、目の奥はかすかに本気になった。
「ほら、こっちに来いって」
「えっ…」
鶴丸はコタツの中にあった彼女の足首を二つ捕まえると、それをずるずると自分の方へ引っ張っていく。
「きゃっ…!? 鶴丸さん待って待って!」
「とりあえず何もしないって。そんなに慌てるなよ」
「ちょっとぉ…!」
彼女の体がコタツの中に引きずりこまれて顔まで中に入ると、掴まれた足は彼の方へ出てくる。
鶴丸はもう一度コタツの中に手を入れ直し、今度は彼女の腰を捕まえると、軽々と持ち上げて自分の胸の中に引きずり出した。
主は捕獲された小動物のように、口をへの字に歪めて縮こまる。
「そんなにむくれるなよ」
「だってぇ…鶴丸さん怖いですぅー…」
鶴丸は「仕方ないな」と呟きながら、胸の中に収めた彼女を解放し、とりあえず自分の隣に座らせた。