第4章 ◆例の部屋(鶴丸国永)
「鶴丸さん、どうしてそんなに平然としていられるんですか…?」
「どうしてって、こうなったらしばらく様子を見るしかないだろ。ほら、主もこっちに来て饅頭でも食べようぜ」
手招きされるままコタツに入った彼女は、言われたとおりにまくまくと饅頭を食べる。
緊張でまったく味は感じない。
(こんなところに鶴丸さんと二人なんて……私たち、どうなるんだろう…)
───二時間が経った。
「…──で、そのときの長谷部の顔が傑作でさぁ、三日月と大笑いしたんだ」
「あははっ…やめて鶴丸さん、笑いすぎてお腹痛いですっ…!」
二人はなぜか楽しい話題に没頭し、笑い声をあげていた。
お腹をかかえて笑う主をさらに笑わせようと、鶴丸はジェスチャーを交えて追い討ちをかける。
「見ろよ主、こんな顔だこんな顔」
「やめてやめてっ…あははっ…!」
笑い声が途切れても、主が出したテレビでは笑点がやっており、それがさらなる笑いを誘ってくる。
この部屋には二人の笑い声が途切れなく響いていた。
「あははっ…鶴丸さん面白くてっ…あーお腹痛い…」
しかし先にその空気を破ったのは、鶴丸だった。
「ははっ………で、主。どうする?」
「え? なにがですか?」
「夜伽だよ。するか? そろそろ」
予期せぬ誘いに、彼女はピキンと固まった。