第3章 ◆再会(大倶利伽羅)
私は頭が真っ白になって、どういうつもりで彼がこんなことを言っているのか全くわからず、すぐに返事が思い浮かばない。
「連れて来ておいて悪いとは思っている。だがあんたのためだ。今帰ってくれ」
少し優しいトーンに変わった大倶利伽羅さん。
私は浅い呼吸をしながら、心を落ち着けた。
「そう…ですよね。さすがに相手が私でも、男と女ですもんね…」
「相手があんただから、こうなった」
──わっ…
彼の紡ぐ言葉に、心臓が破裂しそうだ。
もしかして、と思ってしまう。
「大倶利伽羅さん…あの、聞いてもいいですか。ずっと聞けなかったんですけど、どうして飲み会の日、私にキスしたんですか…?」
今まで、心の中で期待しては何度も否定してきた。
大倶利伽羅さんも私と同じ気持ちなんじゃないかって。
私は気持ちを抑えられずに目を潤ませながら顔を上げると、大倶利伽羅さんは腰を上げ、私の顎をすくい、ゆっくりと口づけてきた。
「…こうする理由なんか他にあるか」
うそ……
一筋涙が出てきて、彼はそれに気付くと私と額をくっつけた。
「……あんたを待ってた。ずっと」