第3章 ◆再会(大倶利伽羅)
隣にいても邪魔をしているような気がした私は、会社の外に出て内緒で待っていた。
大倶利伽羅さんを残してどこかのカフェに入る気にはならず、通用口の近くのベンチに座って待っていた。
──深夜11時30分。
職員通用口から、作業を終えた大倶利伽羅さんが出てきた。
私はすぐに駆け寄り、買ってきた缶コーヒーを渡す。
「…ご迷惑かけてすみませんでした大倶利伽羅さん」
「あんた…帰れと言ったはずだ。ずっとここで待っていたのか?」
少し怒った口調で彼はそう言った。
「…私が待っていたくて待ってたんです。どうしても、帰る気にはなれなくて…」
納得のいっていない顔をしていたけど、大倶利伽羅さんはため息をついて、一旦咎めることを終わりにした。
「帰りの足はあるのか」
「あ…はい」
「嘘をつくな。終電は過ぎた」
「大丈夫です…少し歩けば、カプセルホテルがあるので」
待っていたはいいものの考えなしな私の行動に、大倶利伽羅さんはさらに眉間にしわを寄せる。
私が縮こまっていると──…
「俺の家なら近い」
──えっ…
「……それって…」
「来るのか、来ないのか」
「さ、さすがにご迷惑なので…」
「来い」
手をひかれ、彼のアパートへと連れていかれる。
どうしよう、ドキドキする。
こんな展開になるなんて、思ってなかった。