第3章 ◆再会(大倶利伽羅)
「大倶利伽羅さん、すみません…」
「帰っていい。修正は俺がやっておく」
「私のせいでこうなったんです! 私も手伝わせてください!」
「俺一人でいい。あんたがいたところで頼むこともない」
「そんなっ…」
迷惑をかけていることに胸が痛み、私は下を向いた。
先に帰る気になんてならないけど、私が手伝えるような簡単なものではないらしい。
大倶利伽羅さんはさっそく作業を始める。
手伝えないならせめて終わるまで待っていようと、細かい仕事を探して一緒に残業をしていた。
「待っているつもりなら帰れ。日付が変わる頃にしか終わらない」
「そんなにかかるんですね…どうしよう、すみません、私…本当に、何てことしちゃったんだろう…」
「別に。誰か死んだわけじゃない」
ふいにそう言われ、私は大倶利伽羅さんを見た。
大倶利伽羅さんは相変わらず速いタイピングで、メガネに青い画面を映しながら作業を進めていた。
時間がかかるためかジャケットを背もたれにかけ、ワイシャツの袖を腕までまくっている。
すっかり現代に馴染んだように見える今の彼も、あの日の本丸での衝撃を覚えているのだ。