第1章 ◆若返り(三日月宗近)
───部屋に入ると、主は三日月にそばに座ってもらい、自分は机の引き出しから、ハードカバーの大きい資料集を取り出した。
「それは?」
「これは…」
三日月に尋ねられると、主はそれを手渡す。
重さでずっしりと一度沈むが、彼はすぐに持ち上げてそれを開いて眺め始めた。
「お見合いの資料です」
「…見合い?」
三日月の手が止まる。
「最近、政府から新しい月課任務として『お見合い』が追加されたんです。審神者同士の交流を促進するとかで…。報酬もありますし、皆さんに戦いに出てもらってばかりではなくて、私ができることはやってみようと思いまして」
そこまで聞くと、三日月は真顔で資料に目を戻し、ゆっくりと頁をめくっていく。
年頃の男審神者の写真が彼らのプロフィールとともに載っていた。
見進めていくにつれ、三日月の顔は冷めたものに変わっていく。
「…ほう、審神者とは難儀なものだな」
「そうなんです。政府も色々なことを考え付いてはこちらを振り回してくるんですよね。でも…まあ、お見合いするだけならいいかなと思って。案外、どの審神者さんも報酬目当てのようですよ。迷惑にならないお相手を選んで連絡してみようかと。せっかくなので、三日月さんも手伝っていただいていいですか?」
──パタン
三日月は資料を閉じた。