第3章 ◆再会(大倶利伽羅)
「すみません大倶利伽羅さん。駅使わないのに…」
「別に、俺が勝手にしていることだ」
これ以上謝ったらしつこいだろうと思い、私は口を閉ざした。
…どうして今日、来てくれたのかな。
つまらなさそうに見えた。
私に再会しても、何も変わらないみたいだったし。
彼の後を追いかけていると、すぐに地下鉄の駅についた。
地下へ向かう階段の前で止まり、お礼を言うために大倶利伽羅さんと向き合う。
「送ってくださりありがとうございました。お仕事でも、色々と迷惑かけてごめんなさい」
彼は私をじっと見ている。
…やっぱり今でも大好きで、見つめ合うと涙が出そう。
「大倶利伽羅さんに会えて、嬉しかったです」
私がそう言った瞬間だった。
階段を降りようとすると後ろから腕を掴んで引き留められ、気付いたら大倶利伽羅さんに抱き締められていた。
「えっ えっ」
カバンが落ちる。
彼の腕の中に収まって混乱していると、今度は私の顎を指で引き寄せ、深い口づけをされる。
─ちゅ…─
「…んっ…」
硬直していると二、三回唇を噛むように口づけられ、お酒の香りが残るまま唇が離れていく。
体もすぐに離された。
私は目を開いて彼を見て、その場に放心状態で立ち尽くす。
「…まっすぐ帰れ」
それだけ言ってすぐに背中を向けて去っていく大倶利伽羅さんの背中を見つめたまま、私は階段の上でしばらく動けなかった。