第3章 ◆再会(大倶利伽羅)
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「主との再会に乾杯!」
グラスをあてると、一気に飲み干す鶴丸さん。
私たちもいいペースで飲み始めた。
「前世では大変な目に遇ったけど、こうして平和な時代に転生できて良かったよ。また主にも会えたし」
「はい。私も皆さんに再会できて嬉しいです。記憶がある方がいるとは思っていませんでした」
「そうなんだよな、電車に長谷部がいたけど声かけたら無視されたし、記憶があるのは少数派なんだ。主、知ってるか? 棋士になってる三日月は記憶があるぞ」
「えっ!?」
「鶴さんファンレター送ってみたら返事が来たんだって。久しいな鶴よ、って」
「本当ですか!? 私も三日月さんに会いたいです! お時間とってもらえるかなぁ…」
「うん。皆で会おう。きっと喜ぶと思うよ」
三人で明るい話に花が咲いていたけど、大倶利伽羅さんは輪に入らず、黙って飲み食いしているだけだった。
───時間を忘れて楽しんだ私たちだが、しばらくするとラストオーダーとなり、解散することに。
大倶利伽羅さんは徒歩、鶴丸さんと燭台切さんは電車、私は地下鉄で帰るため、店から歩く方向は全員違っている。
「大丈夫? 主。駅まで送るよ」
「いえ。大通りなのでこの時間でも人通りがありますし、大丈夫です」
「俺が送る」
ほとんど喋らなかった大倶利伽羅さんが、ここでやっと口を開いた。
「そんな、大丈夫ですよ、大倶利伽羅さん…」
「行くぞ」
背を向けて先に行ってしまったため、私は鶴丸さんたちに手を振ってから、大倶利伽羅さんに走って着いて行った。