第3章 ◆再会(大倶利伽羅)
落胆だけではなく息が詰まりそうな業務時間を過ごし、今日は退社時間となった。
…この様子じゃ、私が誘っても飲み会には来てくれないだろう。
でも燭台切さんに頼まれてるから、一応声をかけなければ。
「あの、大倶利伽羅さん。この後空いてますか?」
「……何だ」
「その…せっかく再会したんですし、飲みに行かないかな、と思いまして…。都合が悪ければ全然、無理にとは言わないですけど…」
「行く」
大倶利伽羅さんはメガネを外し、パソコンをオフにした。
行くって言ってくれた…!
鶴丸さんは付き合い悪いって言ってたけど、そんなことないみたい。
良かった!
───「伽羅坊!?」「伽羅ちゃん!?」
待ち合わせの居酒屋に行くと、大倶利伽羅さんを見た二人が叫んだ。
「いや驚きだ。誘っても絶対に来なかった伽羅坊が。さすが主だな」
嬉そうな鶴丸さんと燭台切さんを私もニコニコして見ていると、大倶利伽羅さんは私にだけボソッと呟いた。
「……あんたと二人じゃないのか」
えっ……
「ご、ごめんなさい。言うの忘れちゃって…」
「別にいい」
申し訳ない気持ちになりつつ、私はドキドキして止まらなくなった。
私と二人でも、来てくれたってこと?
…むしろ、私と二人だから…?
ううん、そんなわけない。
仕事中は冷たかったし、変な期待はしちゃ駄目だ。