第2章 プロローグ
目覚まし時計に叩き起こされて、寝ぼけ眼を擦る。
眠たい。寝ていたい。そんな欲求と戦いながら、理緒は何とか身を起こす。
今日から新しい学園生活である。
その言葉の並びには、期待に胸を膨らませるというようなキラキラした感情が似合うものだが、理緒は気が乗らないというのが本音であった。
前の学校よりも楽に通えれば、それでいい。少なくとも事件を知る人はいないはずだから。
溜め息を吐いたが、息が小さな音を立てるだけで、声は伴わない。
その有り様にもう一度、小さく息を吐いた。
初日は教室に行く前に職員室へ来るように言われていたのだ。
早く、家を出よう。
重たい気持ちを引きずって理緒は家を出た。