第5章 一の裏は六
立って歩けることを証明すれば、抱える必要がないことを示せるのでは。
ひらめいた理緒はベッドから、おりる。
急がば回れ。
少しずつゆっくりと動かせばいいものを、身体の調子が戻っていると勘違いした理緒は、
立った途端に、膝から崩れていく。
あ、これはまずい。
だって、きっと、
これでは、
危ないから抱える、と炭治郎が言い張って聞かなくなる。
そんなことを思ったそばから、倒れるより早く炭治郎は理緒を支えた。
呆れられているだろうか、心配した顔をしているだろうか。
支えられた理緒は、情けない気持ちで炭治郎の顔を見上げる。
炭治郎は、とても切なげな表情で、
「……俺を頼ってくれよ」
そう絞り出すように言った。
いつもの明るさがそこにはなくて、
どこか遠くを見ているような、そんな気がした。