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袖振り合うも多生の縁。 / 鬼滅の刃 /

第5章 一の裏は六


 再び目を開くと、白い天井ではなく、
 
 炭治郎の顔が目の前にあった。

 心臓が縮み上がる。

 ……寝顔を、見られた。
 その事実に気づき、理緒は頬を染める。

「大丈夫か?」
 恥ずかしさのあまり、理緒は痛むことを忘れて、ぶんぶんと頷いた。
 そのあとで痛みが走るのではと、はっと気づいて身構える。

 しかし、痛みはいくら待ってもやってこない。

 治った、のだろうか?
 ゆっくりと、身体を起こす。

 いまだに、ちくちくと痛むが、動かせないほどではない。

「無理はしなくていいぞ」
 炭治郎の気遣いに、理緒は小さく頷く。

 ベッドはカーテンで区切られており、炭治郎はベッド横に置かれた丸椅子に座っていた。

「珠世さん!起きました!」
 カーテン越しに炭治郎が伝えると、レールに沿ってカーテンが引かれて、保健室全体が見回せるようになった。

 一度目に炭治郎と来たときにはいなかった保健医の珠世がそこにはいた。

 その後ろには愈史郎がいて、すごい形相で理緒と炭治郎を睨んでいた。
 怖い。

 理緒の顔が強張ったのを感じ取り、珠世は後ろを振り返る。

 一瞬にして、愈史郎は睨み顔を止めたが、
「愈史郎。怖がらせるのはやめなさい」
 と注意を受ける。

「怖がらせていません!睨んだだけです!」
 そんな、言い訳があるものか。

「睨むのは、ダメです」
「はい!」
 キラキラと輝く顔で愈史郎は、元気よく返事をした。

「ごめんなさいね」
 珠世が彼女を見て、謝った。

 どうして先生が謝る必要があるのかと、理緒は首を横に振る。

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