• テキストサイズ

袖振り合うも多生の縁。 / 鬼滅の刃 /

第4章 麻に連るる蓬


 保健室からなかば追い出された二人は、教室へ戻ることにした。

 教室のある階についたとき、チャイムが鳴った。

 授業の終わりを告げて、休み時間の始まりを報せる。

「ちょうどよかったな。授業中に入るのは気まずいもんなぁ」
 と、炭治郎は朗らかに呟いた。

 理緒は先ほど教室を飛び出してきたことを思い出して、少し憂鬱だ。
 また見世物のようになるのだろうか。

 そう思うと、足取りは重たい。

 歩調がゆっくりになり、表情から明るさが消えたことから、炭治郎は彼女の心境を察した。

「よし、理緒!」
 突然、名前を呼ばれて、理緒は驚きと照れが混ざった顔をする。

「手を繋ごう!」

 ……はい?
 いや、なんで?

 彼女の疑問をよそに、炭治郎は彼女の手を取る。

 いきなり握られた手に、あわあわしていると──
 


「ア゙━━━━━━━ッ!」
 
 廊下に、汚い高音が響いた。

 声の主である善逸は一瞬にして、間合いを詰める。

「炭治郎……! お前……!!!!」
「ああ、善逸」 

「『ああ、善逸』……じゃねぇよ!?俺が真面目に授業を受けているときに!!!なんで!お前は!理緒ちゃんとイチャイチャしてんだよ!!!」

「いや待て!」
「いいや!待たないね!!これが待っていられるか!!!」

「あのな、善逸」
「転校初日の女の子を追いかけて教室を出ていったと思ったらァ!手ェ繋いで帰って来て!!!」

「これには訳が」
 
「いいご身分だな!!!炭治郎!!」

 炭治郎は話をしようとするが、聞く耳を持たない善逸には何を言っても仕方がない。

/ 35ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp