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甘美な林檎パイを独り占め

第2章 ルキノ|♦諦めようか



慌てて訂正したが、
彼の表情は変わらない

急にどうしたんだろうか…

『具合でも悪いんですか…?ルキノさん』

何だか様子がおかしいですよ、と言いながら
彼へと近づく

ぺと、とおでこが触ってみたり
首を触ったりしてみるが
熱があるわけではなさそうだ

大丈夫ですか?と小首を傾げながら
再度、彼に声を掛けると

「…誘っているのか?」

『へ…?』

「だから、君は私を誘っているのか
と聞いているんだが…?」

『そ、そんな!違いますよ!
熱があるのかと思って触っただけで…!』

あわあわと恥ずかしさで
頬にじんわり熱をもつ

「、
今度は君が風邪じゃないのかね?」

私が調べてみよう、と言い

つつ…、と私の頬を
綺麗な指で撫でるルキノ

頬を撫でる彼の姿が酷く官能的で
更に熱を持つ

『あ、あの…!ルキノさん!
私は大丈夫ですから…っ!』

我に返り、慌てて彼を制止する
だが、尚も彼の撫でる手は止まらない

好きな人から触れられて、
ポーカーフェイスなど出来るわけもなく
どんどんと頬が紅く染っていく

恥ずかしさの限界値を超え、
涙で視界が歪む

「…!?」

『も、もう…や、です…。
やめてください、ルキノさん…っ』

涙を流している事に驚き、固まった
ルキノの一瞬の隙をついて、自分の顔を隠す

そんなに、からかわなくてもいいじゃないか
私が泣いてるのを見たくなるほどに
彼は私の事が嫌いなのだろうか、と

理解出来ない彼の行動のせいで
私の頭の中はぐちゃぐちゃだ

一向になにも言おうとしないルキノに

『そ、…んなに私の事が嫌いならっ…
最初からそう言ってくれたら…
よ、良かったのに...っ』

時折言葉に詰まりながら

『からかわないで…!
ルキノさんは私の事好きじゃないけど
私はルキノさんの事好きだから
そんな事されると、辛いんです。』

と、胸が張り裂けそうな程
痛いこの気持ちを彼にぶつける

「…、すまない。
泣かせるつもりじゃなかったんだ。
の反応が可愛くて…つい。

勘違いさせてしまったようだが、
私はの事を好きじゃないわけ
ではない。」


ルキノの言った言葉を反芻して
ぐちゃぐちゃの頭の中で考える

私の事、好きじゃないわけではない…?

でもそんなの
今まで一言も言ってなかったよね…?


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