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甘美な林檎パイを独り占め

第2章 ルキノ|♦諦めようか



ルキノへの愛に気が付いたのは
いつの事だったか

自分の気持ちに気が付いてからは
頻繁にルキノの所へと足を運び
彼と沢山話をした

と言っても小難しい話の時は
内容が理解出来なかったが
彼と話しているその事実だけで
嬉しかった

いつも帰り際に
紅く綺麗で宝石のようなルキノの瞳を
見ながら伝える

『ルキノさん、好きです』

またか、と少し困った顔を
しながらルキノは

「君は、飽きないのかね
毎回それを私に言うが…」

『飽きないです
飽きるなんて有り得ません』

そのくらい、貴方が好きなんです
と再度気持ちを伝えるが
彼の表情はさっきと変わらず…
いや、さっきよりも困った顔をしていた

そんなルキノの顔を見て
この気持ちは彼にとって迷惑以外の
何物でもないのか…と落胆しながら

思わず

『…ご、ごめんなさい
ルキノさん、長々とお邪魔してしまって…
それじゃ、私はこれで失礼します』

言い終わると同時にルキノの背を向け
部屋の扉へと向かう

軽く会釈をして部屋を出る

自分の部屋へと帰る道の途中
涙が堰を切って溢れだす

私の想いは、受け取って貰えなかった

2人で部屋でお茶をしながら
話をしている時のふと見せる
ルキノの優しい顔、仕草
時折、愛おしいものを見るような
優しい瞳

もしかしたら
私と同じ気持ちなんじゃないかって


それは勘違いで、迷惑でしかないなら
彼を困らせているなら
私はもう…気持ちを伝える事はやめにしよう

いくら拭っても止まることを
知らない涙に自分で呆れる



そんな事を考えていたら、いつの間にか自室に
着いたようだ

自室の扉を開け、
ベッドに寝転がる

今日は疲れた、何も考えたくない

もう、寝よう…

ベッドの柔らかさに包まれ
安心感で眠りにつく



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