第7章 カヴィン|恋人なのに
『嫌です。さっきから何回も言ってるでしょ。
私はゲートから出ません。だから早く皆と出て。
私の事はもう放っておいて、カヴィン』
涙で視界はぼやけるし、声も鼻声だ
早く立ち去って欲しいのに
どうして彼は行ってくれないの
いつもは私の事なんて大事じゃないくせに
私よりも他の人がいいなら
そっちに行けばいい
『もう、疲れたの…私。
貴方とはやっていけないわ』
だから別れましょうよ
「…!?、突然どうしたんだ…?」
『突然じゃないわ。最近思ってたの。
他の人の所に行けばいいじゃない…
違う女の子と話してばかり、
私と恋人らしい事もしないで。
私がどんな気持ちで居たか知らないでしょ。
もううんざりなの…』
「…だ、そうですよ。カウボーイ。
諦めた方がいいんじゃないですか?
まあ、私が恋人ならこんなに可愛らしい人は
放っておきませんけどね。
貴方が他の女性に行くのが不思議ですよ。」
先程まで黙っていたリッパーが
を抱きかかえながら、
カヴィンに話しかける
「…いやだ。俺はじゃないと
だめなんだ。
悪いがリッパーには渡せないな…
返してもらう」
そう言い終わると同時に
ヒュン、と縄をの身体に巻きつけ、担ぐ
『嫌よ!貴方とは一緒に帰らない!
離して…っ!』
ぐいぐいと彼を押し退けて降りようとするが
がっちり掴まれていて動けない
助けを求めるように
ちらり、とリッパーの方へと目線を向けると
ひらひらと手を振りながら
「頑張ってください」
と何とも適当な返事だった
『降ろして!担がれたくないのっ!』
いくら暴れても一向に降ろしてくれる気配はない
結局、ゲートまで担がれて出る羽目になった
イライとエマが先に出てくれたのが
不幸中の幸いかもしれない
ゲートを出てからも担がれたままで
荘園に着くとカヴィンの部屋へと
連れて行かれる
『離してって言ってるでしょ…!』
「だめだ」
漸く喋ったかと思いきや、
降ろすのを拒否される
チェイスした疲れと、
久しぶりに泣いた疲れで
最早抵抗する気が失せた
ガチャリ、とカヴィンが部屋の扉を開け、
一直線にベッドに向かい、
カヴィンのベッドに降ろされる