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甘美な林檎パイを独り占め

第7章 カヴィン|恋人なのに



中治りで、多少は回復して、
リッパーとの距離を稼ぐが
徐々に後ろに迫ってきているリッパー

「まあ、大体誰の事かは分かりますが…。
他の女性を追っかけているようでは、
1番大事な人から捨てられても
文句は言えなさそうですねえ。」

なんて呑気に言ってる

『離れないとでも思ってるんじゃないかしら…。
あの人ならありえそうだわ』

もう疲れた、とふと足を止める
ゲートが開くまでの時間は稼いだんだから
良いだろう、と

「おや、もう辞めるんですか?」

意気消沈されたら面白くないですがねえ…と
文句を言いながら
ちゃっかりダウンを取るリッパー

私を助けなくていい、と彼らに送る
もう誰の顔も見たくない、今は

…疲れた

なのに、どうして貴方は
助けるって、言うの

早く逃げて、
私を助けなくていいと言ったのに

リッパーも、まだ出ないんですねえ、
なんて言ってる
今だけは彼と同意見だ

早く出て欲しい
私の事は放っておいてほしい

ボロボロと涙が出る

リッパーに抱きかかえられながら、
リッパーの服を掴む

カヴィンの事を悪く思う自分も
自分だけを見て欲しい、
他の子に触れないで欲しいと
願ってしまう事も嫌なのに、
やめられない

「おやおや、の涙で
私の衣装がびちょ濡れですよ。
困りましたね…」

『ご、めん、リッパー。
今日だけ、今だけはこうさせて…』

「構いませんよ、」

ずっと誰にも言えなかった、
泣く事さえも我慢していた

1度言ってしまえば止まらないと思ったから

涙は止まることを知らず、
とめどなく溢れ出る

「!!!
今助けるっ!」

愛おしいはずのカヴィンの声

『嫌!!来ないで…っ!
私は皆と一緒にゲートから出ない…。
だから早く逃げて』

さっきも言ったでしょ、とカヴィンの方から
顔を背けるようにして
リッパーに移動するよう催促する

「すみませんねぇ…今日は特別に
はハッチから出しますから
早く他の人は出て言って貰えませんかね?」

邪魔ですよ、と赤い目のままカヴィンを見つめる
リッパー

「だめだ!、一緒に出るぞ!」

歩けないなら担いでやるから、と
言う彼

他の人を触った手で触れてほしくない
泣いてる顔も見られたくない

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