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甘美な林檎パイを独り占め

第4章 リッパー|ミルクとたっぷりのお砂糖



本に夢中になり気づけば真夜中

「困りましたね、小腹がすいてしまった」

仕方がないからキッチンにでも
食べ物を取りに行こうと
重い腰をあげる

キッチンへ近づくにつれ
甘い香りがする

扉からは微かに光が漏れている

こんな時間に誰だろう
疑問を持ちながらキッチンの扉を
開ける

『あっ!リッパーさん』

予想だにしない人物



「こんな夜更けに誰かと思いきや
貴女でしたか、さん」

軽く驚きながら後ろ手で扉を閉める

さて、甘い匂いの正体は何だろうか
気になり、彼女の元へ歩を進める

小鍋でコトコトとミルクを
あっためている
その傍らには砂糖の瓶も置いてある

『リッパーさんこそ、こんな夜に
どうしたんですか?』

不思議そうな顔をする彼女

「私は本に夢中になっていたら、いつの間にか
こんな時間で小腹を満たしに来たんですよ」

本来の目的を思い出し
キッチンの冷蔵庫を開ける

………見事にすっからかん

『んー…ジョーカーさんがさっき来てたので
全部食べたかも…』

後ろで彼女の声がする

あ!と何か思いついたような様子の
頭にはてなを浮かべながら
冷蔵庫の扉を閉める

『じゃーん、さっきマフィンを
焼いたんですよー!
良かったら食べませんか…?』

チョコチップのマフィンだろうか
美味しそうなそれを持ちながら
満面の笑みでこちらを見る彼女

「美味しそうですね。貰います」

キッチンのイスに腰を下ろす

ホットミルクを作り終わったが
自分の可愛らしいマグカップに入れて
リッパーの隣に座る

何故隣に座ったんだろうと
思いながら細かい事は気にしなくて
いいか、と考えながら
マフィンを食べ始める

『ど、どうですか?』

「ん、美味しいですよ」

良かったあ〜、
と安堵の表情を浮かべる彼女に
笑みがこぼれる

『笑わないで下さいよ〜!
心配だったんですから!』

今度はぷりぷりと頬を膨らませながら
文句を言う

表情がころころと変わって、
見ていて飽きない
面白い子だなんて思っていると、

隣が急に静かになって、
目線をそちらへと移す

頬を赤く染めながら

『夜中に2人だけで
こうやって過ごしてるなんて
恋人みたいですね』

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