第15章 雨降って地固まる
*主人公side
一瞬の出来事で、理解するのに少し時間がかかった。
どうやら私は、ソファの上で焦凍に押し倒されたらしい。
先程の和やかな様子とは一変して、彼は据わった目で私を見下ろす。
「リョウ、首についてるこの跡、どうした?」
『えっ...と、体育祭の時に、怪我したみたい....』
「こんなところを?」
『んっ....』
焦凍は、怪訝な表情を浮かべ、指で私の首筋をなぞる。
鼻がくっつきそうなくらいの近距離。
さながら肉食動物に追い詰められた獲物の気分になってしまうのだけど、不思議と、彼のオッドアイからは目を逸らすことができない。
「お前が出てる試合の様子はずっと見てたんだ。
試合途中にぶっ倒れたとは言え、こんな中途半端な跡できるわけねぇだろ。」
『...はは、さすがです』
「何でしょうもねぇ嘘ついたんだよ。言いづらいことでもあんのか?」
当たり前だ。
言えるワケないじゃない、勝己につけられたキスマークです、なんて...!
「おい」
『爆豪の仕業です』
あああ私の馬鹿...!
露骨に不機嫌そうな焦凍が怖くて、ついあっさり口を割ってしまった...!