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電撃少女はヒロインになりたくない

第23章 噂


*主人公side




「コピー野郎、ふざけんのも大概にしろよ」



それまで事態を静かに傍観していた勝己が、ゆっくりと腰を上げた。
露骨に不機嫌そうな表情で、物間くんに詰め寄る。



「キスごときでぎゃあぎゃあ騒ぐなや、ガキか」


「おっと、どういう意味かな?」



助かった。
勝己が否定してくれたら、きっとこの噂が嘘だということをみんなに理解してもらえそう。
きっとこれで、この騒ぎも収まるはず。

ナイス爆豪!



「てめぇも案外可愛らしいとこあるんだな」


「....は?」


「キスくらいで済んでるわけねぇだろ。
その先は考えなかったのか?
高校生だぞ、俺ら。」



「!?!?」
『!?!?』



とんだ思い違いだった。
助け舟かと思いきや、火に油を注ぎにきただけらしい。

勝己の発言を受けて、周りが一層騒がしくなる。
どこからか、女子生徒の黄色い声と、男子生徒の悔しそうなうめき声が聞こえてきた。

こいつ、何考えてるの...!?




「そ、それは本当なのかい...?」


「さぁな」


この一瞬で、まるで形勢逆転してしまった。
顔を引きつらせて動揺する物間くんに対し、勝己はヴィランのような笑顔を浮かべ、私に視線を向ける。



「あいつの顔見たらわかるだろ」



それまで勝己と物間くんに集中していた視線が、一気に私に移った。
なにこの雰囲気....?




『待って、違う!違うからっ...!』


当の私は、動揺を隠しきれず、顔を真っ赤にして首を横に振ることしかできない。
ああ、情けない。
我ながら説得力が皆無だ。




そんな私を見て、勝己は勝ち誇ったように鼻で笑い、その場を後にした。

あいつのことだ、
噂なんて微塵も気にもとめてなくて、ただ私を精神的にいじめて楽しんでいるのだろう。


最小限の言葉で、最大限に場をかき乱していった。

核心めいたことは言っていないけど、確実に私が焦るように仕向けてくるあたり、性格の悪さを頭の良さをフル活用していて、非常にたちが悪い。

あいつ、覚えとけよ....!




この後、お昼休みが終わるまで、A組や他クラスのみんなから鬼の質問攻めを受けたことは、言うまでもない。

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