第15章 雨降って地固まる
*主人公side
『....っ!?』
突然、左肩にのしかかる重み。
視界の端に、焦凍の頭が映る。
彼は、ぐったりと体を脱力させて、私の首元に顔をうずめていた。
冷たい吐息が首にかかり、思わず体がビクッと動く。
『し、焦凍.....?』
「少しだけ、このままでいてもいいか」
『.....うん』
「....俺は、これまでの人生において、恐怖とか、憎しみとか、復讐心とか、後ろ向きの暗い感情を抱くことが多かったが」
『....』
「緑谷や、お前や、A組のやつらと一緒に過ごしてるうちに、紛いなりにも前を向けるようになってきた気がする」
『...成長したじゃん』
「ああ...感謝してるよ」
私は、焦凍の頭を軽く撫でた。
彼の柔らかな髪の毛は、いつか一緒に触った猫のことを彷彿とさせる。
『なんか、猫みたい』
しまった。また思ったことを口に出してしまった。
動物扱いするな、って怒られちゃうかな。
...なんて、ぼんやりと考えていると、頭を撫でている方の手首を掴まれた。
次の瞬間、視界がグラっと揺らいだ。