第15章 雨降って地固まる
*主人公side
「爆豪?」
『話すと長いし、意味わかんないんだけど...
ざっくり説明すると、体育祭で私が倒れた時に看病しにきてくれて、お前はまだ個性を扱えないザコだから、しばらく制御装置外すなって言って、文字通り、噛みつかれました...』
「意味がわからねぇ」
『ですよね...』
不機嫌そうな顔しないでほしい
私が1番意味わかんないし、ただの被害者なんだから...!
「前々から言おうと思ってたんだが、お前は無防備すぎるぞ」
『無防備?
いやいや、そのへんの女の子よりは強いし、むしろ防御力増し増しだと思うんだけど』
「...この状況でよくそれ言えるな」
焦凍は、呆れたようにため息をつき、
私の首元に顔を近づけた。
『...痛っ!』
──体育祭の日と同じ感覚。
勝己にキスマークをつけられた箇所が、ズキズキと痛む。
「....こういうのって、新しい方が正当っつーことになるよな」
上書きしといたぞ、と、焦凍が耳元で囁いた。
艶のある低い声が腰に響く。
見上げると、さきほどまでの不機嫌そうな表情は消え...
かわりに、綺麗なオッドアイの底が意地悪く光っている。
こいつ、他人のことや人間関係には興味がないタイプだと思っていたんだけど、意外と所有欲や独占欲が強いタイプなのかもしれない。
こうして──
私と焦凍の関係性は、この日を境に、ますます深くなっていくことになる。