第15章 雨降って地固まる
*轟side
長い沈黙の後、リョウは、涙で濡れた大きな瞳で俺を見上げた。
そして──
『.....ふふっ』
俺の顔を見て、何故か急に吹き出した。
「何だ」
『なんだって...こっちのセリフだよ。何その顔。』
「...俺、そんなに変な顔してたか?」
『うん。高い置物を割っちゃった子供みたいな、どうしよう〜って感じの困った顔してるよ。"いつもクールな轟くん"も、そんな顔するんだねぇ。』
指で涙を拭いながら無邪気に笑うリョウを見て、
俺は頭をかきながら、言葉を漏らす。
「誰のせいだと思ってんだ。
...ったく、泣いたり笑ったり、忙しいヤツだな。」
どうしたものか──
こいつと一緒に過ごす時間が長くなるほど、どうしようもないくらいに、こいつのペースに飲み込まれていく。
心地よくて、ずっとこの穏やかな時間が続けばいいと思ってしまう。
窓の外の夕日を見て一息つくと、
ずっとまとわりついていた何かから開放されたかのように、肩の力が抜けた。