第15章 雨降って地固まる
*轟side
随分長い時間、話し続けていたような気がする。
両親が結婚した理由、
俺の幼少期のこと、
家族のこと、
顔の火傷痕のこと、
体育祭で、親父への復讐に盲目になっていたこと、
緑谷にかけられた言葉がきっかけで、改めて自分に向き合えたこと、
そして──
ついさっき、数年ぶりにお母さんの入院する病院を訪ねてきたこと。
リョウは、両手で握ったマグカップを眺めながら、時々相槌をうち、
俺の話を静かに聞いていた。
「長くなっちまったが、これが今までの俺の話だ。
他人にこんなことを話すのも妙だが、お前には、なんとなく話しておきたいと思って。理由はうまく言えねぇけど。」
一通り話し終えた俺は、残っていたコーヒーを飲み干す。
温かかったコーヒーは、すっかり冷たくなっていた。
「体育祭前は、こういうことばかり考えていたせいで、お前やクラスメイト達と少し疎遠になってた。...自分でも、どうかしてたと思う。
お前にも変な勘違いさせちまってたみたいだな、悪かった。」
隣で俺の話を静かに聞いていたリョウの顔を覗き込むと──
リョウの大きな瞳は、涙で潤んでいた。