第15章 雨降って地固まる
*轟side
『いらっしゃーい!』
部屋に入った俺を、明るく出迎えたリョウは、ソファに足を投げ出しリラックスした様子でパソコンを触っていた。
体型の割に大きめの服を着ているせいで、白くて華奢な鎖骨と肩が露わになっている。
...クラスメイトとはいえ、仮にも男を家に上げる格好にしては、あまりにも無防備過ぎないか。
「お邪魔します。...これ、差し入れ。」
『わー!これ最近駅前にできたお菓子屋さんのやつじゃん!
気になってたんだ〜〜ありがとう!!
コーヒー淹れるから座ってて〜!』
リョウは勢いよく体を起こして差し入れを受け取り、コーヒーカップにお湯を注ぎ始めた。
部屋に差し込む柔らかな陽の光と、鼻孔をくすぐるコーヒーの良い香りを感じながらリョウの無邪気な笑顔を見ていると、それだけで、ここに来た目的を果たした気になってしまう。
まだ家に着いたばかりだというのに。