第14章 仮説検証
*主人公side
倦怠感と戦いながらベッドでうとうとしていると、
誰かが荒々しく医務室の扉を開けた。
『勝己!』
「.....」
彼は私の呼びかけに応じず、ポケットに手を入れたままズカズカと医務室に足を踏み入れ、ふてぶてしい態度で私のベッドに腰をかけた。
『来てくれたんだね、ありがとう』
「....」
私に背を向けて座る彼の表情は見えない。
ただ、なんとなく—-機嫌が悪そうだ。
『あの...さ、試合って、どうなったんだっけ?
覚えてなくて....はは.....』
「....てめぇが勝ってた」
『え?』
「てめぇの圧勝だった、途中まではな」
『.....』
「中盤から異常に攻撃力が上がって....
最終的に個性が暴発して、てめぇは競技場のど真ん中で急にぶっ倒れた」
『....やっぱり』
「常闇は手も足も出せてなかった。
勝てた試合だったけど、てめぇが勝手に自滅して負けた。」
『そっか....』
記憶から抜けていた自分の試合のハイライトを聞いた私は、
ベッドの上で弱々しく膝を抱えた。
ああ、なんて無様な負け方をしてしまったんだろう。
自分の不甲斐なさに、自己嫌悪せずにはいられない。
だいたい、自主練のタイミングで個性の制御が成功したことなんて一度もなかったのに、どうして上手くやれる気になってしまったのだろう。
デクくんやクラスメイト達の血の滲むような努力を目の当たりにして、なんとなく感化されてしまった。
私は同じ土俵に立てるような努力なんてしていなかったのに。
『悔しい.....』
振り返れば振り返るほど悔しくて、目頭が熱くなった。
ただ....ちっぽけなプライドなのはわかっているけど、勝己の前で泣くなんて絶対に嫌だ。
こういうところ、我ながら本当に可愛げがない。