第2章 プロローグ
*主人公side
念願の、雄英志望の友達ができた私は軽い足取りで帰路についた。
かなり乱暴そうだけど、まぁ美形だし、仲良くなれるといいなぁ。
『...お?』
ふと、学校の水槽の前で肩を落とす男子生徒を発見した。
手には、ボロボロに焦げたノートを持っている。
『きみ、大丈夫?』
「...!?!?!?うわああああ橘さん...!?!?」
後ろからそろっと近づいて顔を覗き込むと、彼は数メートル後ろに下がった。
瞬発力すごいな。さっきの勝己くんみたい。
『驚きすぎだよ〜。何やら浮かない顔をしてたから声かけちゃった。どうしたの?そしてなんで私の名前を知ってるの?』
「あ、ありがとう...当たり前だよ、橘さん、学校中の有名人だから...さっきもかっちゃん相手にすごい堂々としてたし...すごいよ....」
なんだか自信無さげだあなぁ...そして声が小さくてよく聞こえない。
でも、捨てられた犬みたいで可愛いかも。
『かっちゃんって勝己くんのこと?その呼び方いいね!かわいい!!そんな呼び方するってことはすごく仲良しなんだねー!君、名前は?そのノートなに?しょうらいのための....ヒーローぶんせき...あっ!!君もヒーロー志望なの?じゃあ雄英高校志望??』
「勢いがすごい....!名前は緑谷出久です...は、はい、一応ヒーロー目指してます...でも....」
『でも?』
男子生徒は、ボソボソと話し続ける。