第13章 蟠り
*主人公side
振り向くと、そこには、
ボロボロの体操服に身を包んだ焦凍が立っていた。
『あ....っ、お、おつかれさま!』
そういえば、焦凍とは、ここ2週間くらいまともに話していなかった。
不意に2人きりになってしまい、緊張でつい声が上ずってしまう。
一方、焦凍は私のこんな気持ちを微塵も汲み取っていないのだろう、
いつも通りの飄々とした出で立ちで私を見つめている。
『すごい試合だったね、3回戦出場おめでとう』
「ああ...ありがとな」
『左、使ったところ初めて見たよ』
「........」
焦凍は、何かを話そうとして口を開けたけれど、一瞬躊躇するような表情を見せ、下を向いてしまった。
『なんか....
ここ最近、ゆっくり話せてなかったから、すごく久しぶりな感じがするね』
「騎馬戦で同じチームだっただろ」
『あの時は、焦凍が完全にモード入ってたから....
話したうちに入んないよ』
「....たしかに、ずっと考え事してたせいで、正直周りが見えてなかった。
お前にも不快な思いをさせたかもしれないな...わりぃ。」
『全然気にしてないよ!ちょっと寂しかったけどね。
まぁ...試合前に話せて良かった。おかげで元気出たよ。
じゃあ、そろそろ控え室行くね。』
「ああ。わりぃな、試合前に引き止めちまって。」
言葉を言い終えたちょうどその瞬間、
焦凍の表情が少し動いた。