第13章 蟠り
*主人公side
デクくんと焦凍の試合は、開始直後から激しい攻防が繰り返された。
大規模な氷結による寒波が、観戦席まで届く。
「げっ、始まってんじゃん!」
『あ、鋭児おかえりー!』
「2回戦進出やったな!」
「そうよ、次おめーとだ爆豪!」
「ぶっ殺す」
「ははっ、やってみな!」
1回戦を終えた鋭児が戻ってきた。
どうやら2回戦は勝己と対戦するらしい。
暑苦しい試合になりそうだな〜。
『....ふぅ』
「まだへばってんのか」
『うーん、ちょっとダメージ残ってるかも....
でもなぁ、もうちょっとで感覚掴めそうなんだよなぁ』
「いちいちぶっ倒れてたら元も子もねぇぞ」
『おっしゃる通りだよ....
デクくんの戦い方を見てるとめちゃくちゃだなぁって思うけど、個性のキャパオーバー具合で言うと私も人のこと言えないなあ』
「その点、爆豪も轟も、強烈な範囲攻撃ポンポン出してくるからなー...」
「ポンポンじゃねぇよナメんな」
「ん?」
「筋肉酷使すりゃ筋繊維が切れるし、走り続けりゃ息切れする。
個性だって身体能力だ。
轟にも、なんらかの限度はあるはずだろ。」
「考えりゃそりゃそっか...」
『ここまでの試合、焦凍はスタート直後に瞬殺する戦闘スタイルだったから....デクくんは、耐久戦に持ち込んで勝機を狙ってるんだろうね』
とはいえ、見るからにボロボロになっていくデクくんの姿は
とても痛々しくて、心穏やかに見守れるものではなかった。
『デクくんの戦い方、危なっかしくて見てるこっちが不安になるなぁ...』
「てめぇが言えたことじゃねぇけどな」
『え、もしかして心配してくれてる?』
いつもの調子で隣の勝己の顔を覗き込んでみたけれど、
脳内変換都合良すぎんだろ、と一蹴されてしまった。