第11章 証人
*主人公side
『勝己...!ありがとう』
「...てめぇ、なんだそのふざけた格好は」
『服装がふざけ散らしてるのは重々承知してます...ちょっといろいろあって...』
「ふぬけた面してんじゃねぇよ。なめてんのか。
まさか午前中の競技でへばったんじゃねぇだろうな?ザコが。」
助けてくれたと思ったら怒涛の悪口...!
こいつ、悪口以外のボキャブラリーは無いのか。
ただ、あながち間違ってないから何も言い返せないのが悔しい。
『すいませんねぇアホ面で。
...個性の副作用の眠気にやられてたんだよ。
でもまぁ、ちょっと休めばすぐ回復するから大丈夫。
助けてくれてありがとう。』
そう言いながら、私は壁に背を預けて、その場にゆっくりとしゃがみこんだ。
両手で顔を覆って一息つく。
ああ...この倦怠感、今すぐ寝落ちできそう。
「....」
『...なに』
「あ?静かな場所で精神統一しようと思ってここに来たのに、てめぇが邪魔しにきたんだろうが」
勝己は悪態をつきながら、私の隣に座り込んだ。
『すごい、ヤンキー座りだ!』
「殺すぞ」
瞬殺。睨まれた。
つくづく、優しいのか意地悪なのかわかんない奴だな。
でも...
こんなにも乱暴で悪口量産機だけど、
一緒にいるとすごく落ち着く。
不思議だ。