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電撃少女はヒロインになりたくない

第2章 プロローグ


*主人公side


(なんだこの状況は...)


一瞬の出来事だった。

私の背には教室のドア、顔の横には...手があるのだが、なぜかドアにヒビがはいっている。今の衝撃音の正体はこれか。

目の前には、尖った金髪と、気の強そうな、しかしながら端正な顔立ちの男子生徒が立ちはだかっていた。
壁ドンなんて可愛いもんじゃない、さながらウサギがオオカミに追い詰められているようなもの。
目の前の彼は親でも殺されたかのような鋭い目付きで私を見下ろしている。
ガラはすこぶる悪いけど…うーん、面が良い。


「てめぇ、今俺の名前を呼んだか?なにガン飛ばしてんだ喧嘩でも売りに来たのかクソアマ。」


悪人面の彼は周囲のざわつきを微塵も気にしていないようで、
ドスの効いた低い声でにじり寄ってくる。



『えっと...君がバクゴウカツキくん?私ね、この前転校してきた橘リョウ!春から雄英高校ヒーロ科に進学するんだけど、最近帰国したばっかりだから日本にあんまり友達がいなくて...同じ中学校にヒーロー科志望の子がいるって聞いたから、友達になりたくて会いに来てみたの!よろしくね!』


長い海外生活で学んだこと、笑顔は万国共通!
私の経験則だけど、どんなに悪人面でも笑顔で挨拶したらだいたい友達になれると思う。


「はぁ!?訳わかんねぇこと言ってんじゃねぇぞ!?なんでてめぇみてぇなクソザコと馴れ合わなきゃいけねぇんだよクソが!!!」


....前言撤回、物事には例外があるようだ。
私の笑顔は彼には全く効かなかったようで、彼が壁についていない方の手を大きく振りかぶると、手から爆音とともに火が上がった。


「橘さん危ない...っ!」


個性持ち...炎使い?いや、その割に火力は弱いな。
音を聞く感じは爆発の個性か。出会って1分くらいの相手にこんなことするなんて、ヒーロー志望とは思えないヒールっぷりだな。


「っ....!?!」
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