第8章 名前を呼んでよ
*主人公side
「なんか盛り上がってんなー。
私は耳郎響香だよ、よろしく。」
「葉隠透だよ〜!よろしくねっ!」
『リョウです、よろしくね〜!』
「そういや、せっかくだから推薦入学者に聞きたいんだけど、
リョウとやおももは、体育祭に向けてどんな自主練してるの?」
「あっそれ俺も聞きてぇ!特に同じ電気系の個性として!!」
軽く自己紹介を済ました流れで、耳郎ちゃんからの突然の質問が。
便乗する上鳴と、目をキラキラと輝かせながらこちらを見るデクくんが可愛い。
『特別なことはしてないけど...
とりあえず電気の理論を頭に叩き込んで、応用技考えつつ
自分の意思通りに調整できるように練習してるかなぁ。
やおももは?』
「私も似たようなものですわ。
私の個性は、構造を完全に理解しておりませんと創造できませんので、
日々知識を蓄積しておりますの。」
「くっ...2人とも明らかに頭良さそうで参考にならない...!」
「リョウ、俺達って個性似てるはずなのに、
どうして戦い方と強さが全然違うんだ?」
『まぁ、私の方が理論的に自分の個性を理解しているっていうのが大前提だけど..,』
「うっ」
『ただ、客観的に見ても、シンプルな力技では上鳴の方が上だと思う。
私は...出力パワーで勝てないから、良くも悪くも技で誤魔化してるんだよね。』
「技術力のリョウちゃんと、パワーの上鳴くんってことか...」
『そうそう。私にも欠点はあるし、一概に上鳴より強いとは言えないよ。
具体的には、体力が不足してるの。
そもそも人が動くには、脳から各神経へ電気信号を送ってるのね。
だから、その電気信号を模した人工的な電流を与えると、身体の働きを高めたりすることができるわけです。』
上鳴の顔には「?」の文字が書いてあるけれど、
その隣でデクくんがすごい勢いでノートをとっているからとりあえず話し続けよう。