第8章 名前を呼んでよ
*主人公side
「いや、橘ってマジで根性あるなー!
あの距離感で爆豪に絡めるやつ、お前くらいだと思うよ」
「爆豪も、口は悪ぃけど満更でもなかったりしてな。
てかさー、あんなやつじゃなくて俺と遊びにいこうぜ!優しくするよ!」
大人しく飴を頬張っていた私に声をかけてきたのは、切島くんと上鳴くんだ。
どちらもクラスのムードメーカー的存在で、とても人当たりが良い。
『勝己は悪人顔だけど、考え方は好きだし、尊敬できるとこもあるし、
なんやかんや相手してくれるから、ちょっかいかけちゃうんだよねぇ...』
「橘さん、初対面の時からかっちゃんに全く萎縮してなかったもんね...
本当すごいよ...
僕なんか幼馴染だけど未だに怯えてるよ...」
『デクくんはなんか、常に怯えた子犬って感じで可愛いよね〜!』
「えっ...そ、そんな目で見てたの...?」
顔を赤らめて照れるデクくん。
何だその反応は、乙女か。
『それから、リョウって呼んでよ!
海外ではずっとファーストネームで呼ばれてたから、ファミリーネーム(苗字)で呼ばれるの慣れないんだよね...ちょっと心の距離感を感じる』
「わ、わかった!リョウちゃん...!!」
「そういえばリョウちゃん、轟くんのことも名前で呼んでへんかった?
轟くん、あまり人を寄せ付けない雰囲気だけど、リョウちゃんがガンガン話しかけてて、さすがやなぁって思いながら見ててん。」
デクくんの後ろから、お茶子がひょこっと顔を覗かせる。
今日も元気で可愛い。
『そうそう〜!なんか、家が近所だから話す機会が多くて...
っていうか、私が一方的にちょっかいかけてるだけなんだけど...えへへ』
「俺のことも名前で呼んでくれよ!
なんか、呼び方が変わるだけで仲間って感じがして良いな!」
熱い...爽やか....
切島くん、モテそうだなぁ
『鋭児郎...だとちょっと呼びにくいから
鋭児、とか?』
「おう!」
『電気...はなんか私の個性とかぶってややこしいから
適当に気分で呼ぶね』
「俺だけ雑かよ!!!」