第7章 君の個性
*心操side
「体、動かねぇよなぁ。」
『....!』
「...制服を脱げ」
俺の個性・洗脳で操られている橘は、
命令通りにブレザーのボタンに指をかけ、1つ1つ外していく。
ブレザーを脱いでシャツ姿になると、華奢な体からは想像できない豊かな胸のラインが顕になった。
こんなことが知られたら、学校中の男共に袋叩きにされそうだ。
「俺の個性は"洗脳"だ。今みてぇに、発動中は相手を好きなように操ることができる。嫌な個性だろ?実際、今まで散々”ヴィラン向きだ”って言われてきた。俺も、他人がこの個性を持ってたら最初に悪用を思いつくよ。」
『...』
「俺の頬にキスをしろ」
橘は身を乗り出して、俺の頬に唇を寄せた。
柔らかな髪の毛がふわっと香る。
ああ...こんな華奢な女子相手に、何をやっているんだろう。
俺は嫌悪感に苛まれた。
「最悪だろ。お前の意志も関係なしにこういうことができちまうんだよ。
懲りたら、もう俺に絡んでくるなよ。」
『...』
洗脳状態の橘を残し、俺は自分の荷物を手にする。
教室を出て数秒立ったところで、個性を解除した。
いくら脳天気なあいつでも、一方的にこんなことをされたんだ。
さすがに幻滅して、もう俺には近寄ってこないだろう。