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電撃少女はヒロインになりたくない

第7章 君の個性


*心操side



個性を解除した、ほんの数秒後。
慌ただしい足音が、背後に近づいてくる。



『心操くんっ!!』



興奮状態の橘が俺を追いかけて来た。

さすがに怒っただろうか。
あんなセクハラ紛いのことしちまったんだ、一発くらい殴られても仕方ないな。




『すごい個性だねっ!!!!』


「...は?」


洗脳明けの橘の一言目は、俺の予想を大幅に裏切るものだった。
キラキラと目を輝かせ、勢い良く俺の両手を握る。



『洗脳って!しかも発動条件は質問に答えるだけって!!すごい強いじゃん!!!』


「....!」


『すっかりやられちゃったよ〜!
実践だったら私殺されてたね!!!』



物騒なセリフを吐きながら、橘は無邪気に笑った。
見た目にそぐわず、なんてタフさだ。



『なるほど、洗脳ね〜!使い方次第では、ある意味最強の個性かもね。
確かに、ヒーロー科の入試は対ロボット実践って聞いたから、相性は悪いかもだけど...』



橘は、改めて俺の目を見つめる。



『個性って、結局使い方次第でどうにでもなると思ってるんだよね。
個性を武器にどう勝つか、どう守るかか大事なんじゃないかな。
その点、心操くんの個性は奥行きがあるね...手強いライバルになりそう。』


「....怖くないのか?俺の個性」


『うん!....あっ』



目の前の橘は、再び俺の個性にひっかかり、硬直する。
アホなのか?



「...無防備すぎだろ。普通1回洗脳されたら、次から警戒するだろうが。
心配しなくても、もうあんなことしねぇよ。」



流石に今回はすぐに解除した。




『えへへ、またやられちゃった。
心操くん、一緒に帰ろ〜!
...あ、荷物教室だ。そういえば教室への戻り方わかんないんだった!』



全く、次から次へと忙しいやつだな。
アホなのか?
しかも、何故か一層懐かれてしまったらしい。



俺は、こいつみたいに個性に恵まれたやつは苦手だ。
だから、ヒーロー科のやつなんかと馴れ合うつもりはなかった。

....だが、こいつとの居心地は、そこまで悪くはないと、
そう思ってしまった。


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