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電撃少女はヒロインになりたくない

第6章 猫とクラスメイト


*轟side



『家族仲....そっか、どの家もいろいろあるもんね』


「お前みたいな明るい奴は、比較的家族仲も良さそうだな」


『そだね、良い方だと思う。家族のこと好きだし。』


「....の割には、妙な表情してるな」


『えっ』


「うまく笑えてねぇぞ....寂しそうな子供みてぇな顔だ」


『そうかな....うーん...』



俺の質問に対して、いつになくぎこちない笑顔を浮かべたまま、リョウは目を伏せた。
顎に手を当て、なにか考えている様子だ。




『家族のこと、あんまり友達に話したことないんだけど....
まぁ焦凍ならいっか』

「?」



何かを決心したように、リョウは静かに話し始めた。



『私の両親、海外でプロヒーローをしててね。
さすがに焦凍パパみたいにランク1桁ってわけではないんだけど、
地元の人に愛されてるヒーロー夫婦だったんだよね。』


「そうだったのか」


『ママは、正直パパよりも強くて....負けず嫌いで、バリバリの戦闘要員だった』



どうりでお前も、と口走りそうになったが
睨まれそうなので黙っておいた。


『それでいながら、いつも笑顔で優しくて....
自分の個性を、世の中を良くするために惜しみなく発揮できるような人だった。』



「....尊敬、してるんだな。両親のこと。」



『もちろん。
.....でもね、ママは、ヴィランが起こしたテロで、殉職したの。』


「...!」


『そこからは、パパと一緒に暮らしてたんだ。
おかげで家事も一通りできるようになっちゃって。
そりゃ当時はショックだったけど、沢山の人に支えてもらったし、ママが殉職してから随分時間が経ったから、今は全然元気だけどね。』



俯いていたリョウは、笑顔で顔を上げる。
いつもと全く違う、無理をしている笑顔だ。




『家庭環境は人それぞれだし、みんながいろいろなものを抱えているってのは理解してるんだけど...
家族が生きてるのに、仲良くないのは寂しいなぁって、焦凍の話しを聞いて思っちゃった。』



余計なお世話だよね、と寂しそうに笑うリョウを見た俺は——
考えるより先に、体が動いていた。

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