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電撃少女はヒロインになりたくない

第6章 猫とクラスメイト


*主人公side




『完成ー!はい、いただきまーす!』


「いただきます」




私の真似をするように、焦凍は胸の前で小さく両手を合わせる。
その様子は、なんだか子供みたいで可愛い。




「...上手い」


『焦凍が手伝ってくれたおかげだねー!良かった!』


「俺は蕎麦茹でるの手伝っただけだろ。
他の食材に関しては俺は何もしてねぇよ。
リョウ、料理得意なんだな。」


『和食はあんまり作ったことなかったけど、そう言ってもらえると嬉しいな。
海外にいた時、よくホームパーティーしてたから料理は好きなんだよね。』




どうやら本心で褒めてくれてたみたいで、焦凍は満足そうにもぐもぐと口を動かしている。
普段はクールで隙が無い印象だけど、蕎麦を食べている時は、すっかり表情がゆるみきっている。




「...俺の顔になにかついてるか?」


『動物は食事中が一番無防備になるっていう話を思い出してた』


「俺を野生動物扱いするな」




心の声が漏れてしまった。




「...両親と離れて暮らして、心細くないのか?」


『うーん、親と暮らしてる時も家事はしてたし、平日は学校にいる時間が長いから、案外問題ないかな。』



こうして2人で食事をするのは初めてだけど、
近所にできた新しいお店の話や、
クラスメイトの話、授業の話など、当たり障りのない会話をしているうちに、あっという間に時間は過ぎていった。



『...ところで、さっきは流されちゃったけど、焦凍の話もしてよ。
家族のこととか、あまり聞いたことないじゃん。
確か、エンデヴァーがお父さんなんだっけ。』


「ああ...家族構成は、両親と、兄が2人に、姉が1人だ。母親は、今は入院中だから一緒には住んでねぇけど。
...家族仲は、正直あまり良くない。」




また、あの顔。
私の気にしすぎかもしれないけど、焦凍は時々、なんだか寂しそうな顔をする。
隣にいるのに、心だけどこかに置いてきてしまったような表情。
それを見ると、事情を知らない私も、悲しくなってしまう。

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