第3章 スタートライン
*轟side
『あっ!』
「....お」
入学初日の帰り道、最寄駅で見覚えのある姿を見つけた。
ウェーブがかった柔らかそうなロングヘアに、白い肌。
体は小せぇが、妙に存在感がある。
『轟くんだー!もしかしてご近所さん?』
同じクラスの橘リョウ。
俺を見つけるや否や、とことこと駆け寄ってきた。
....小動物みてぇだな。
今までに会ったことのないタイプで、正直扱い方がわからない。
今朝も、突然話しかけてきたと思ったら、俺が適当に相槌を打っている間にずっと話し続けていた。
とんだマイペース野郎だ。相当図太い神経をしているのだろう。
『今日の個性把握テスト、轟くんに負けちゃったね〜、残念。しかも勝己と同率3位だったから、次は殺すぞってすごい睨まれたんだよね〜、あんまりだよね〜!それでさ、』
俺の返事を待つこともなく、こいつは無邪気に話し続ける。
その楽しそうな横顔は、まるで親に1日の出来事を報告している子供みてぇだ。
「....なぁ」
『ふぁ』
「なんだよその気の抜けた反応は」
『いや、ずっとボーッとしてた轟くんが急に話し始めたからびっくりしちゃって!』
ほんの一言話しただけで大げさな。
にしても、もう少しマシな言い方があっただろうに。素直か。