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電撃少女はヒロインになりたくない

第23章 噂


*主人公side



『はい....?』


呆然とする私を見て、物間くんは目を輝かせて畳み掛けてくる。
こうやって人の嫌がる姿を見て喜々とする嫌なところ、本当にルイに似ている。




「おやおや、めずらしく動揺しているじゃないか!
その様子だと、どうやら図星みたいだね。」


『ちょっとまって、ほんとに何のこと....?』


「誤魔化したって無駄さ!
きみと爆豪くんがカフェでキスをしてたっていう目撃情報があるんだからね!
白昼堂々、しかも公衆の面前でキスするなんて、やっぱり体育祭上位入賞者は違うね〜〜!」


物間くんが大声で騒ぎ立てるせいで、周辺の生徒達がザワつきはじめた。
峯田くんが鬼の形相で勝己を睨んでいる。

どうしよう。
どうやら、とんでもない誤解をされているらしい。

すぐに否定しなきゃいけないのに、呆気にとられてしまった私は何も言葉を発することができない。




そんな中、
沈黙を破ってくれたのは、芦戸ちゃんの無邪気な一言。



「ねーねー、もしかして、これのこと?」



彼女は、目をキラキラと輝かせて楽しそうにスマホを掲げる。
画面に表示されているのは、先日の勉強会の時に盗撮された私と勝己のツーショット。

その写真は、キスこそしてはいないが──
まるで恋人同士のような距離感であることは否定できない。

確かに、この状況を目撃されていたとしたら、
こんな噂が流れてしまうのも無理はない....のか?



とはいえ、入学早々こんな噂を流されるのは都合が悪い。
しかも相手が勝己だなんて、私の趣味が疑われてしまうじゃないか。
私はもっと穏やかで落ち着いた人が好みなのに...!!


ここは、あの時同じ場所にいた芦戸ちゃん達に誤解をといてもらうしかなさそう。


なんて思ってたら、ちょうど鋭児と目が合った。

何かを察したように、笑顔で親指をグッとたてる。

あああ、やっぱり鋭児は頼りになる…!
きっと空気を読んで助け舟を出してくれるはず。

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