第23章 噂
*主人公side
ヒーローインターン終了から数日経ったある日のお昼休み。
私は、A組のみんなとお昼ごはんを食べていた。
最近の話題はもっぱら、お互いのインターンの話だ。
一口にインターンと言っても、その体験談は十人十色。
実際の救助活動をした人もいれば、芸能活動や雑用のような、一見ヒーローっぽくない体験をした子もいたいみたい。
そして、保須での事件の当事者である飯田くん・デクくん・焦凍達は、怪我こそしたものの、無事に退院できたようだ。
先日のテレビ電話で聞いた話は機密情報とのことで、私は何も知らないふりをして、クラスのみんなと談話していた。
こうしてクラスのみんなと話していると、
いつもの日常に戻ってきた感じがして、心が落ち着くなぁ。
──なんて、呑気に考えていた矢先に、
嵐は訪れた。
「あれれ〜、A組のみんな、お揃いじゃないか!
今日も群れてるねぇ!」
爽やかに、しかしながら嫌味を混ぜながら勢い良く話しかけてきたのは、B組の物間くん。
『も、物間くん...どうも...』
正直のところ、私は彼があまり得意ではない
理由は単純。
ルイに、容姿と雰囲気がすごく似ているからだ。
あいつの精神攻撃に比べたら物間くんの嫌味なんて可愛らしいものだし、実害も無いだけれど、無意識に脳が警戒してしまう。
もちろん、彼にとってはとんだとばっちりだというのは理解している。
人格に難有りとはいえ、悪い人ではないと思うので、無下にするのも申し訳ないな....
「聞いたよ、橘さん、爆豪くん。」
「あ?」
『ん?』
「君たち、付き合ってるんだって?
前から親しげだとは思ってたけど、僕の勘は正しかったみたいだね!」
『ぶはっ』
前言撤回。
やはりこいつ、相当意味がわからない。
予想外の発言に驚いて、思わず飲み物を吹いてしまったじゃないか。
鬼の首を取ったと言わんばかりの自信満々の表情がやたら癪に障る。